新作雑記 えろ

以前、ネットでどなたかが
「小説を読みたいんじゃない。エロを読みたいんだ!」と書き込んでおられました。

「なるほどなあ」と思ったものです。
いや、直接的な意見ですが、間違っているとは思わない。ニーズとしては、アリでしょう。

例えば推理小説なら知的な駆け引きや奇想天外なトリックのみを、剣豪小説なら斬り合いのシーンだけを切り取ってショートストーリーとしても、作品としては成り立ちます。キャラの書き分けや歴史、設定の説明は無くても。

では官能小説では?
やるとしたら濡れ場オンリーになりますか。ありそうですね。実際、(小説とは言ってませんが)○○の素人体験告白集みたいな書籍はあります。シリーズ化されているみたいですから、需要はあるようで。

ただ、恋歌としては気になるのは、少なくとも官能小説において濡れ場のみ! というのは、他の媒体――漫画やイラストや実写には対抗しづらいという事です。

なんといってもこの三様式は見ればわかる。そのまま目から頭に飛び込んでくる。

対して小説は字を理解し、文章を読んでから、読者が自分の脳裏に情景を作るのです。情報伝達としては難度が高い。

でも、その分、小説はキャラの心理や思いや思考を表現しやすい。この点に関しては漫画にはくどくなりがちな説明セリフが追加で必要ですし、実写なら俳優女優の演技力が必須になる。
これらをさらりと描写出来るのは小説にしかない長所です。

そう言う事情から官能小説でのエロスに対して、恋歌としては、濡れ場だけに頼るのはやらないようにしてます。前述のネットの人のご希望にはそぐえませんね。でも『絵』のインパクトに勝とうと思ったら、今の実力では――

基本はやはり、長々と小説を読んで頂く必要がありますが、そこの設定とそこまでの流れを理解した上で、さらりとした、一見なんでもない動きやセリフから醸し出すエロスーーそんな感じに。

手頃な例としては、新作『うぉーたーりぃりぃほてる Ⅱ』における

『娘と会話していたお母さんが、その娘の目を盗んで、息子にウインク……』

のシーンでしょうか。
ここだけ聞いてもなんの事か判らないでしょう?
でも作品を読んで頂いた方と、お母さんとーー息子には頬が染まるくらいにエロい意味だと通じるのですよ。   二十六世

2017年05月02日